山との出会い - 嫌な思い出から素敵な思い出へ
私のハイキング体験は、両親の影響から始まりました。
幼い頃から旅行といえばハイキングという環境で育ち、
主に日帰りコースを家族で楽しんでいました。
転機となったのは7歳の時の尾瀬への一泊登山です。
当時は適切な装備もなく、
普段着のまま参加したため、
雨に降られて靴はびしょ濡れ、
寒さと疲労で散々な経験となりました。
この体験がトラウマとなり、
「もう二度と山には行かない」
と強く決意したものでした。
しかし、25歳頃に状況は一変します。
姉夫婦と両親が楽しそうにハイキングの思い出を語る様子を見て、
「次は私も誘って」
と言っていました。
そして迎えた再会の舞台は、上高地でした。
河童橋に立った瞬間、息を呑みました。
目の前に広がる景色は、言葉を奪うほど美しかったのです。
「日本に、こんな場所があったなんて――」
大正池の静寂。
明神の荘厳さ。徳本峠へと続く道。
そして何より、穂高連峰を背に家族と囲んだお弁当の時間。
あの温もりは、今でも心の真ん中にあります。
それから月に2回、私は山を歩くようになりました。
封印したはずの記憶は、いつの間にか書き換えられていました。
恐怖は感動に、孤独は絆に、後悔は感謝に。
正しい装備と、晴れた空と、大切な人たちがいれば
山は、人生で最も意義のある時間になる。